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zoom RSS チャン・イ―モウ監督からの手紙

<<   作成日時 : 2006/05/06 23:23   >>

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「親愛なる『ライバーChinese World』の管理人 様」という書き出しで、早速チャン・イ―モウ監督から手紙がきた。全文紹介すると長くなるので、どうしてそのような過ちを犯したか、しかし誤りだとわかっても、やはりこのままでいきたいという理由を、以下に紹介しよう。


《チャン・イ―モウ監督の手紙の要点》

「単騎走千里」をタイトルにすべきところを「千里走単騎」としてしまった理由は次のとおりです。

まず、この言葉は『三国志』の関羽の故事を典故にしております。そのことはわたしも知っていたのでしたが、わたしが参照したテキストは文化大革命のときに、改竄されたもので、そこにそのように書かれていたからです。

またこれでいいと疑わなかった理由は、わたしが文章家ではなく、イメージを重んじる映像クリエイーターだったからです。

つまり、この言葉を見て、わたしは次のようにイメージをふくらませたのです。

まず「千里」という言葉から、広広とひろがる北の大地、いやわたくしの生まれた中原の大地を想像しました。そこに何か動くものが見える。それがだんだん近づいてくると、それは「馬に乗った一人の男」だった。

まあ、漢字の塊からそんなふうにイメージしたのです。伝統的な語法なんか学んだことのないわたくしには、漢字の塊はイメージを喚起する図案でしかなかったのです。あのようにやたらと画数の多い漢字はわが国の近代化の足かせだと、将軍様はおっしゃっていました。50年たてばわが国はピンインというローマ字表記に変わるともおっしゃいました。もう50年が間近かです。漢字は風化しております。だから、図案としてみて頂ければよろしいのではないでしょうか。

それから、あのように表現したいというもう一つの大きな理由があります。

それは尊敬する貴国の言葉です。

貴国の言葉は、時間語、空間語を白人たちの言葉とは違って、たいてい述語よりも前に置いてあります。

例えば「わたしは今日居酒屋でお酒を飲んだ」−−こんな卑俗な表現でも、貴国では「今日」、「居酒屋」は述語の前が普通です。欧米語のように述語の後に従属させてはおりません。

わたしはこのようにわたしたちの存在に対する謙虚な気持ちをもった貴国の言葉が好きです。尊敬してます。貴国の言葉から、人間は、いや人間ばかりでなくあらゆるこの世の事物は「時間と空間の接点に常に存在している」ということを知らされました。

だから、「千里」という空間をイメージさせる図案、たとえ語法的に間違っているといわれても、やはり「走る」というイメージの塊の前におきたいのです。どうしても主語が必要だという人がいたら、隠れているけれども、全体を統括しているのはわたしたちが尊敬する関羽様だ、としたらいかがでしょうか。




以上の彼の手紙を読んで、わたしは感心した。さすがは世界から一応の評価を得ている監督だと。

「関羽が千里四方もの空間を馬に乗って一人で(どこかへ向かって)走っている。」

そのように解すればいいんだ。「千里四方もの空間を」というのは日本語の連用修飾語と同じだ、それは日本語と同じように述語の前に置く、それはなかなか賢明な選択だ。

「わたしたちの言葉は世界の6分の1の人が話している」、といばっていう人がいるが、しょせんは飯屋か闇市でしか通用しない言葉ではないですか。

でも、このように考える人がこれから増えてくるのであれば、あの深遠な哲学を生み出したドイツ語や世界の金融市場を牛耳る英語、繊細さと品格で世界の尊敬を集めるわが国の言葉、そのような先進的な言葉に、あの国の言葉も近づいてくる。そんな日がひょっとして来るかもしれない。そんな希望が今日はわいてきたのでした。


                  (あの国の未来にいささか楽観的になった日のネコの日記)


(追記) これは中国語の文法的理解をしていただくための、まったくのフィクションであることをお断りしておきます。

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存在文――表現いろいろC(中国語文法20)
高倉健主演の中国映画「千里走単騎」の日本語タイトルは「単騎,千里を走る」であった。「馬にまたがった武将(関羽)がたった1騎で千里もの遠い道のりを飛ばしてやって来た」という意味なのであろうが,この文の主語は一体どれなのだろうか。 ...続きを見る
のうてんき
2006/11/13 20:09

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