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zoom RSS 中国語は「草花型」で「小鳥の視点」

<<   作成日時 : 2007/12/01 21:55   >>

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学校文法的考えでいくと、文のいうのは「主語+述語」であり、主語は当然必要なものだと考えます。しかし、モントリオールの日本語教師金谷武洋さん(前回記事参照)は、これは英語の発想で、日本語の文は述語だけで十分、と断言します。

それなら日本語の主語とはなんでしょうか。日本語の主語は文に不可欠な要素ではないから補語の1つ、主格補語というのが正確だそうです。いろんな格助詞をもつ補語(学校文法でいう連用修飾語)と同レベルの文法成分です。(そういえば市販されている外国語教育用の日本語文法書のいくつかでは、「主語」といわずに「主格補語」という名称を使っています。)

英語は主語があって、その次に述語動詞がきて、そのあとに補語や目的語がきて、そのまた後に副詞的・名詞的要素の句・節がくる、というように語順が4段階にきちんと整理できます。この語順を縦にならべて図式化し、それを「クリスマスツリー型」と名づけています。

日本語を図式化するとどうなるのかというと、文の主役は述語ですから、まずこれを基盤にします。その上に、一連の補語(学校文法では主語と連う用修飾語)がちょうど樹木の枝葉のように並び、2段で終わります。英語が「クリスマスツリー型」ですから、それに比べると半分の背の高さの日本語は「盆栽型」です。



ところで、英語で主語を「subject」といいますが、このsubjectには「(君主国の)国民」という意味もあります。地下鉄のことを「sub-way」というように、「sub〜」は語源的には「下」の意味をもちます。英語のsubjectも昔は「従」であったのに、それが今では成り上がって、主語が決まらなくては動詞も決まらない絶対的権力をもつ高みにまで上ってしまっています。subjectは「主」語になり、英語は「神の視点」から表現するようになった、金谷さんはそのように主張します。

この「神の視点」に対して日本語は「虫の視点」からの表現だそうです。英語の1人称にはその後ろにもう一人の「わたし」を見る絶対的な「わたし」がいるのに、日本語の「わたし」にはそのようなものはありません。日本語の「わたし」には「わたし」自身を見ることはできず、「わたし」の目に映るものしか見ることはできません。このようなものの見え方を、英語が「神の視点」であるなら、日本語は「虫の視点」だと名づけているのです。



今日もまた前置きが長くなってしまいました。

長くなったら、なおさら読んでもらえないので、今日もまた私の考えは結論だけになります。



英語の文体が「クリスマスツリー型」で、日本語が「盆栽型」なら、中国語は「草花型」です。

述語(助動詞+動詞+助詞)が中心で、その上段に主格補語や状語(連用修飾語)がきます。述語より下段に述語補語(いわゆる補語)や賓語(目的語)がきます。3段レベルですから、英語よりは低く、日本語より高い図式です。

日本語の補語レベルと違うところは、日本語はそこにある語の順序を入れ替えても意味はとおりますが、中国語は「主格+時間格+空間格+副詞+否定語」と、主格と時間格は入れ替え可能なこともありますが、語順がきっちり決まっていることです。その語順で、述部を限定します。

ですから、もっと正確にいうと「胡蝶蘭型」です。



英語は「神の視点」、日本語は「虫の視点」なら、中国語は「小鳥の視点」です。いや、これも具体的にいったら「スズメの視点」です。


なぜなら、主語は英語のように述語動詞を決定する力はありません。また日本語の主格補語に似て、必要不可欠な要素でもありません。

英語のように高みにある1点から見下ろすテンスというのも、日本語に似てまったく関係ありません。ときどきのアスペクトだけで十分なのです。

さらに英語の場所と日時を表す語は最後の方につけたされます。しかし、中国語は時間語、空間語(場所語)は必ず述語の前です。主格補語ガ最初ではありますが、他の補語よりも優先されます。日本語もほぼそうなのですが、中国語の方が厳格です。「時間あっての空間」、「空間あっての存在」、1文1文に宇宙があります。目の前に広がる自分の目で見る世界があります。いいかえると、土着的、「虫の視点」です。

しかし、日本語の「を格」や「に格」は述語の前で連用修飾語として扱われていますが、中国語は述語の後ろにきます。英語の目的語や補語に該当し、これらの語を中国語では「賓語」といいます。「お客さんの言葉」という意味です。私の勝手な推測ですが、それは自分の手に届く縄張り外のものということでしょう。だから、それを自分の世界に入れ込むためには述語は飛び上がる必要があります。「虫」では無理ですから、すこしは高みを飛ぶ「小鳥」です。いや、これももっと正確に言うとスズメです。どうということもない話を、人様の迷惑も考えずにピ−チク、パーチク、チュンチュン、チュンチュンんさえずる様子は、どうみても雲雀(yun2 que4)、麻雀(ma2que4)とそっくりではありませんか。




                           (久しぶりに言語学の博士論文をものにできたと内心得意の 小ネズミ)

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『雪国』冒頭文、日英中文の比較
金谷武洋さんの『英語にも主語はなかった』(講談社選書2004年)という本の中に、かつてNHK教育テレビの「シリーズ日本語」という番組で、池上嘉彦という方が川端康成の小説『雪国』の冒頭文についておもしろい実験をしていたということが紹介されていました。 ...続きを見る
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