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zoom RSS オリンピック後の中国―3社の社説

<<   作成日時 : 2008/08/26 11:28   >>

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いろいろと話題の多い北京オリンピックが終わりました。この大会をどのように評価したらいいのでしょうか。お隣の中国はこのあとどのようになるのでしょうか。立場が違うであろう3社の社説を並べてみました。


五輪後の中国―政治の改革へ一歩を (朝日・25日)

 四川大地震を乗り越え、大会そのものには大きな混乱もなく、北京五輪が閉幕にこぎつけた。金メダル競争でも中国が圧倒的な強さを見せつけた。中国の人々は大きな自信をつけたことだろう。
 北京五輪は中国の巨大な力と存在感を世界に示した一方で、中国が抱える深刻な問題を映し出した。
 新疆ウイグル自治区では警察官が襲われる事件が相次いだ。3月に騒乱が起きたチベット自治区では、厳戒下で住民の不満が高まっている。
 襲撃事件などを取材する外国人記者の拘束や取材妨害も続いた。当局は大会中にデモができる場所として北京の3カ所を指定した。だが、住民が実際に申請すると、処罰されたという。
 少数民族の問題、言論や報道への締めつけ。世界が北京五輪の開催を支持し、協力してきたのは、こうした問題が改善されることを期待したからだ。開催決定から7年後の現状に失望したと言わざるをえない
 共産党と中国政府は今こそ、政治の改革に踏み出すべきではないか
 中国は市場経済化を進め、豊かさを手にしたが、政治改革は後回しにされてきた。それが民主化や人権問題を滞らせている背景にある。胡錦濤国家主席ら指導者も政治改革を口にはしているが、遅々として進まない。
 中国は今秋、「神舟7号」を打ち上げて初の宇宙遊泳に挑む計画だ。改革開放30周年も大々的に祝うだろう。再来年には上海万博が待つ。一党独裁の下で、国家目標を効率よく実現する中国式統治への肯定論がいっそう叫ばれるかもしれない。だが、激しい格差や役人の腐敗などへの民衆の不満をいつまでも力で抑えることはできない。
 地方議会の選挙制度を広げる。公平な裁判をめざす。行政機関のサービス意識を高める。報道の自由に道を開く。そうした改革をもう先延ばしにすべきではない
 一党独裁の下で、どこまで政治改革ができるのか。根本に矛盾を抱えた難しい作業だが、そこを乗り越えない限り、安定した大国として発展していく道筋は見えてこない。
 五輪後の経済も容易ではない。世界的な景気の後退や労働コストの増加などで頼りの輸出が減速している。一方で、鉄道網の整備など大事業が並ぶ。より調和のとれた経済発展をめざすためにも、政治改革に手をつけ、人々の自由な活動を広げた方がいい
 あわせて、大国としての自信を新たな国際貢献に向けてほしい。自国の国益を追求するのみでなく、温暖化対策でも大きな役割を担えるはずだ。国際社会と協調を深めつつ地球の危機に立ち向かうことが、それこそ北京五輪が唱えた「一つの世界、一つの夢」を実現する道ではないか。



五輪後の中国 祭りが終わって試練が始まる(読売・25日)

 世界最多の金メダルを獲得した中国では、初の五輪開催を無事終えたことで達成感が漂い、愛国心と民族主義が高揚しているようだ。
 だが、熱戦が繰り広げられている最中にも、ウイグル族やチベット族などの少数民族への弾圧は止(や)まず、人権や言論の自由に対する抑圧は続いた。
 伝えられた数々の「偽装」の中でも、開会式での民族融和の演出は異質だった。民族衣装に身を包んだ中国内の全56民族の子供たちが中国国旗を運んだ場面で、大半は漢族の児童だった。
 中国当局者たちが、いかに自国の少数民族を軽んじ、信用していないかを示すものだ。
 口パク、偽装花火などを含め、多くの演出が、党中央の指導で決められていたことも判明した。北京五輪は中国共産党指導部が前面に乗り出した政治の祭典そのものだったことを物語っている。
 選手育成や資金投入など、国家丸抱えによる金メダル至上主義は、成果を上げたかもしれない。しかし、開会式での偽装は、全体主義国で五輪を開催する難しさを露呈した。
 オリンピック憲章は「オリンピズムの根本原則」でフェアプレーの精神を規定している。偽装演出は、この精神にもとるものだ。
 海外メディアへの取材妨害も目立った。新疆や北京などで、邦人記者や欧米記者が治安当局者から手荒な扱いを受け、中国政府は謝罪よりも、言い訳や警察側の行為を正当化することに腐心した。
 人権弾圧や報道規制などは、中国側が国際オリンピック委員会(IOC)に対して行った誓約に違反している。
 中国は今年後半の経済政策の重点を、インフレの抑制と景気の下支えに置いた。五輪終了で、経済が一気に減速することを懸念しているのだろう。
 今後は、物価と景気を両にらみするという、極めて難しい舵(かじ)取りを迫られよう
 都市部の不動産価格は年初から25%余りも下落、上海株式市場の株価指数はピークだった昨秋の約3分の1に下落してしまった。
 都市や農村での強制土地収用や、党幹部の腐敗・横暴などへの住民の抗議は続いている。
 共産党政権の正統性のよりどころである「経済発展」が担保できなければ、人心は離反し、社会不安は一層強まる。
 五輪で高まったナショナリズムと、困難な経済運営は、中国指導部にとって大きな試練となる



北京五輪閉幕 疑問残した中国流運営 (産経・24日)

 ■この経験をどう生かすのか
 世界の注目を集めた北京五輪が閉幕する。
 参加選手の総数でも、競技場・関連施設の規模でも史上最大級の大会だが、これまでのところ、運営自体に支障をきたす大きな混乱はなかった。中国政府や五輪関係者の努力を評価したい
 競技面では世界中を沸かせた場面が数多くあった。北京最大のスターは、やはり競泳男子で7つの世界新記録を更新し、8種目制覇の偉業を達成したフェルプス選手(米国)だろう。
 陸上百、二百メートルで2冠のボルト選手(ジャマイカ)は、長い間米国が君臨してきた陸上短距離界に吹いた新風である。金メダル獲得競争を独走した中国選手団の活躍も五輪史に刻み込まれた。

 ≪よく踏ん張った日本≫
 金メダル9の日本選手団も、よく踏ん張った、とねぎらいたい。なかでも、五輪2大会連続で男子百メートル、二百メートルの平泳ぎを制した北島康介選手の奮闘が光る。
 ソフトボールでは過去3大会連続覇者の米国を抑えて日本チームが金をもぎとった。エース上野由岐子選手の3試合連投413球は特筆に値する。北京が五輪公式競技としてのソフトボールの最後の大会となったが、復活への希望をつなぐ熱投だった。
 多くの感動的な場面を生んだ北京五輪は、競技運営の面では「成功」といえよう。
 しかし、「人間の尊厳保持に重きをおく、平和な社会を推進する」との理想をうたうオリンピック憲章に照らしてみるとき、北京五輪に「合格」の評価を与えるには、いくつかの留保をつけざるをえない。
 まず、五輪開催国が最優先すべきである報道・言論の自由と人権が完全に保障されていたかどうか。これは疑わしい
 開会式の前後に新疆ウイグル自治区で少数民族の過激派による武装警察などへの襲撃やテロがあり、多数が死傷した。現地に飛び事件の取材にあたった産経新聞記者を含む複数の邦人記者が短時間とはいえ拘束された事実は、民主主義社会における常識からすれば、異常だ。これについて、中国当局から納得できる回答はまだ得られていない。
 競技施設が集中する北京の五輪公園周辺では数回にわたり、欧米の人権活動家らが「チベットに自由を」などと書いた横断幕を広げ、そのたびに警官に排除された。中国当局が五輪取材の報道陣に対して公言したインターネット規制の全面解除は、五輪終盤になっても実現していない。
 言論の自由や人権については、北京五輪組織委員会の定例会見で毎回のように欧米メディアが質問したが、組織委側からは「デモは問題解決のためであって、デモのためのデモであってはならない」など紋切り型の回答が目立った。これでは、国際協調を打ち出した北京五輪のスローガン「一つの世界 一つの夢」が泣く。

 ≪効果の定着を期待する≫
 胡錦濤政権は北京五輪の開催を「中華民族百年の夢」とした。豪華絢爛(けんらん)たる開会式に続きメダル獲得競争を制することで一党独裁による改革・開放路線の正しさを内外に誇示しようとした。
 しかし、国際社会の評価を異常に気にするあまり、五輪施設周辺だけで軍や武装警察を含めて11万人もの治安要員を駆り出した。過剰な警備網は異様である。
 多くの外国人には奇異に見えたことはまだある。開会式の舞台に登場した少女が歌った革命歌曲は吹き替えだった。「中国の56民族を代表して」と紹介され、色とりどりの民族衣装姿で行進した子供たちもじつは大半が漢民族だった。五輪組織委はすべてが「最高のパフォーマンスを提供するため」の演出だという。
 五輪にあたり中国当局は対外イメージの悪い中国人のマナー改善教育に躍起だった。テレビの人気番組が「正しい応援のしかた」という特番を組んだほどだ。
 実際には日本の相手チームばかりを大声で応援する試合もあり、当局の思惑通りにはならなかったが、市内の地下鉄では年配の外国人に積極的に席を譲る学生の姿も見られた。五輪効果の定着に期待したい
 政治、経済の両面で今後も影響力を強めるであろう中国(人)がどう変わっていくか。「百年の夢」の後を生きる五輪後世代が、中国の命運を握っている



≪私の感想≫
終わったばかりなので、今後の中国がどうなるのか、改善・改革に向かうのか、崩壊に向かうのか、わからないのは当然でしょう。

朝日は中国改革期待論者でしょうから、いろいろと今後の改革に注文を出しています。読売は「極めて難しい舵取りを迫られよう」、「中国指導部にとって大きな試練となる」といっているだけで、改革への注文はありませんから、中国改革期待論者か、中国崩壊期待論者か、どちらなのでしょうか。

ところで、中国現政権崩壊期待論者だと私が思っていた産経、唯一、「史上最大級の大会だが、これまでのところ、運営自体に支障をきたす大きな混乱はなかった。中国政府や五輪関係者の努力を評価したい」とプラスの評価を書いています。

今後の中国については、「政治、経済の両面で今後も影響力を強めるであろう中国(人)がどう変わっていくか。『百年の夢』の後を生きる五輪後世代が、中国の命運を握っている」と、現政権指導部への改革の期待ではなく、一般民衆への期待を述べています。

現中国政府指導部が今後どれだけ民衆の声に押されて開かれた国づくり改革に舵をきれるのか。きりそこなって、現政権がぶっ倒れ、中国が四分五裂して小国乱立の東アジアになるのか。みなさんはいずれを期待しているのでしょうか。

今度のオリンピックを通して中国現政権は漢族を中心とした”大中華”の夢を最大限にあおりました。それを見た日本人など多くの外国人は当然しらけてしまいました。しかし、100年もの劣等感にさいなまされた”シナ人”にとってはあの高揚感はたまらないカタルシス、精神浄化作用ではなかったのでしょうか。

ですから、もしもこの”大中華”が四分五裂の危機に面するようなことになったら、中国共産党の期待どおり、少なくとも最大多数の漢族は中国国歌の歌詞にあるように「萬衆一心」に固まる、そうなるのではないでしょうか。

私たちにはおぞましいこの大中華の夢は、私たちの期待に反して潰れそうで潰れない、口惜しいけれども、これが今の私の感想なのです。間違っているでしょうか。


 (今は「満州」関係の読書にはまっているが、北方謙三の『三国志』や『水滸伝』も読みたくなった、でも時間がまったく足りない ネズミ)





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内 容 ニックネーム/日時
■ベルリンオリンピックの後にナチス第三帝国は滅亡−北京オリンピックは、共産中国の壮大なレクイエムの序曲か?


こんにちは。北京オリンピック閉会しましたね。しかし、中国ではさまざまな問題があるのに、結局放置された状態にあります。私は、今後なんらかの改善がない限り、共産中国は10年後には崩壊していると思います。私のブログでは、ベルリン・オリンピックと北京オリンピックの比較など行ってみました。ベルリン・オリンピックは、終生「美」を追求し続けたレニ・リーフェンシュタールの演出だっので同じ国威発揚とはいいながらも「美」を体現していたと思います。そういう意味からすると、北京オリンピックは醜悪であったとさえ言わざるをえません。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
http://yutakarlson.blogspot.com/2008/08/blog-post_24.html
yutakarlson
2008/08/27 11:24
>北京オリンピックは、共産中国の壮大なレクイエムの序曲か? <などを検証されている論文、目下繰り返し味読させていただいておりますが、内容が深いので立ち止まり立ち止まり読んであります。

ところで、私は現代中国論を読むとき、この筆者は「中国改革期待論者」なのか、「中国崩壊期待論者」なのかという2分法で見ていることにしていたのでしたが、貴論文に触発されて、今は「改革」と「崩壊」に2分するのは不正確で、むしろ「現政権中国変革期待論者」か、「非現政権中国変革期待論者」かという観点から、現代中国論を読むべきではないのか、と思いいたっているところです。

中国が抱える課題、経済バブル、環境汚染、官僚汚職、生活格差、民族独立、自由人権といった課題の改革に、現政権は意欲と能力を多少とも持ち合わせていると見て、現政権による中国の変革を期待している論者なのか。それとも現政権には近代国家変革への意欲と能力なんかまったく期待できない、異形の中国を変革する勢力の台頭に期待している論者なのか。そのような区分法です。(つづく)
damao
2008/08/28 17:09
今の私はというと、前者の立場でいます。

これまでの中国歴史にみられた易姓革命がこれからも起こるとはとても思えず、頻発する各地民衆の動乱も、それを束ねて現政権に対抗できる大勢力にまで盛り上がるとも思えません。現政権は今回のオリンピックで漢族ナショナリズムを最高に高揚させることに成功させたといえそうなので、90%を占める漢族の大多数が“大中華”の分裂に賛同するとも思えず、したがって漢族の1%あるかないかの蔵族やウイグル族は外国の強力な手助けなしには独立が勝ち取れるとも思えません。

・・・とすると、現政権によって少しでも開かれたふつうの国に変革するよう、各国は働きかけるしかない、すでにその方向に動いているのではないのか、私にはそのように思えているのです。

damao
2008/08/28 17:18

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