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zoom RSS 東京裁判と「忠義の士」

<<   作成日時 : 2008/11/30 14:55   >>

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私の好きな阿川佐和子さんのお父様は作家の阿川弘之さんだと知って、まだその作品は何も読んではいませんが、『文芸春秋』の巻頭随筆はこのところ読むようにしております。

12月号の随筆タイトルは「『新・東京裁判』再読」でした。

昭和23年12月23日は7人のA級戦犯が東京裁判の判決通り死刑が執行された日なのだそうです。今年はそれから60年目に当たるので、現在の視点から6人の研究者によってその裁判を振り返る座談会が持たれ、「国家を破滅に導いたのは誰か 新・東京裁判 60年目の総決算―決断しないリーダー、暴走する組織」というタイトルの特集記事が同誌10月号に掲載されました。元海軍少尉であられた86歳の阿川さんの随筆は、その記事を読んでの感想でした。


阿川さんの感想の中で私が特に気になった個所は、以下の文章でした。


私は東京裁判を「復讐の儀式」と規定する半藤一利説に大賛成で、あれを国際正義の顕現、原告は文明などと肯定的に見る気は全く持ち合はせない。しかし、市ヶ谷の法廷で裁かれたA級戦犯の中に、日本の国を内からつぶしアメリカに渡してしまった「忠義の士」がかなり大勢混ってゐるのも亦否定しがたい事実であらう。その戦時中の言動を回顧すれば、彼らを復讐劇の犠牲者としてのみ遇することにはためらひを覚える。

阿川さんのおっしゃる「日本の国を内からつぶしアメリカに渡してしまった『忠義の士』」とは、具体的にはどのような指導者たちなのでしょうか。


私も遅ればせながらこの座談会特集記事を読んでみました。

識者によるこの座談会の中で、「日本は、いつ何処で『負けるような戦争を始める』方向へ踏み込んで行ったのか」というと、発端は満州事変だそうで、「あの鉄路爆破こそ現場の暴走、下剋上の最たるもの」だというのが出席者の共通認識のようです。


謀略に関与した主要人物を実名を挙げると、まずは関東軍参謀の石原莞爾中佐、その上司の板垣征四郎大佐、関東軍司令官本庄繁中将、その要請に応じて天皇の御裁可を得ないまま兵を満州領内へ進め、「越境将軍」ともてはやされた朝鮮軍司令官林銑十郎大将、以上四名だそうです。

防衛大学校の戸部良一教授はこの陸軍の暴走への対処の結果について、このように語っていました。

これは大元帥である天皇に対する命令違反にほかなりません。林も石原も、本来なら陸軍刑法で処罰されてしかるべきでした。これが何の処分もされないどころか、喝采と栄誉をもって受け入れられたのが、陸軍とガバナンスを決定的に損なうと同時に、現地軍が政府や天皇をかえりみずに暴走するパターンを作り上げてしまった。

また、この記事の中で最近公開された東条英機の終戦2日前の8月13日に書かれた日記の一節を保坂正康さんが紹介され、憤慨されていました。


もろくも敵の脅威に脅え、簡単に手を挙げるに至るがごとき国政指導者及国民の無気魂なりとは夢想だもせざりし処、之れに基礎を置きて戦争指導に当りたる不明は、開戦当時の責任者として、深く其の責を感ずる。


阿川さんの随筆には「忠義の士」がだれであるかは書かれていませんが、最後の最後までこんな日記をつける東条英機が第一に挙がるのではないでしょうか。


今回の田母神論文更迭事件について、実際に軍人として戦争を体験されたであろう80歳前後の方々の意見が、新聞投書欄などで散見されました。このような方々の投書、城山三郎さんとか阿川弘之さんのような方々のご著書、国民を指導する立場にあられる方々はもっと重く受け取ってもらいたい、そんな気持ちです。

あの元航空幕僚長の田母神さん、10月発売のこの特集、お読みになっておられないのではないでしょうか。


            (私ももうずぐ末期高齢者だが、阿川さんに比べたらまだまだ若い、と思い直している ネズミ)

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田母神論文と「大人の見識」
私が田母神論文にこだわり、それとの関連で『文芸春秋』阿川弘之さんの随筆「『新・東京裁判』再読」を読んで印象に残ったことをもとに「東京裁判と「忠義の士」」という文をこのブログに書きました。 http://lailai-hanyu.at.webry.info/200811/article_3.html ...続きを見る
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