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zoom RSS 子どもの政治が日本を滅ぼす

<<   作成日時 : 2009/04/30 23:12   >>

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  このタイトルは保守派の論客中西輝政京大教授の『文藝春秋』5月号の論文タイトルです。サブタイトルは「検察の暴走が招いた歴史の悲劇を繰り返すな」です。

 その書き出しは以下のように書かれています。

    小沢一郎民主党代表の秘書が逮捕、起訴された事件は、一見、ありきたりな政治資金をめぐるスキャンダル
   のように映る。しかし、日本の民主主義政治に与えるダメージはロッキード事件やリクルート事件をはるかに上
   回るのではないだろうか。

 その理由は「現在の日本の政治を取り巻く状況は、ロッキード事件などのときとは比べものにならないくらい脆弱で不安定さを増し、究極的な混沌状況に近づきつつあるからだ」とのことです。さらにリーマン・ショックによる世界的不況までが加わっています。

 中西論文の小見出しを紹介すると、以下の5つの柱です。

   「どっちもどっち」が政党政治を崩壊させた
   「司法の暴走」、帝人事件
   “清潔”への要求が検察フアッショを招く
   英米流「腐敗」との付き合い方
   小泉「劇場政治」の大罪


 どうして「どっちもどっち」なのかというと、簡単にいうと、小沢問題での政治とカネの問題で国民は自民も民主も同じじゃないのか、だったら「どっちもどっちだ」と国民をしらけさせたということです。


 二番目の「帝人事件」、昭和9年の斉藤内閣のときに検察が検挙した疑獄事件だそうですが、裁判の結果は正常な取引とされて全員無罪になった事件です。

 この事件とからめて、「戦前の日本が道を誤り、敗戦までに突き進んでしまった、その蹉跌の最大の要因」を中西氏は以下のように説いています。

    国土を灰燼に帰せしめた根本要因は、軍部でもなければ「無謀な戦争」でもない。戦前の日本にとってより
   本質的で致命的だった過ちは、政党政治を内側から崩壊させてしまったことである。
    あえて言うならば「司法の暴走」が歴史を歪めた例として最も深刻な意味をもったのは、昭和9年に起きた帝
   人事件であろう。


 三番目と四番目の“清潔”と「腐敗」について、私が読んでびっくりしたことは以下の記述でした。

    先進国民主主義国家の中でも、日本ほど「官」の最たるものであるはずの検察が信頼されている国も珍
   しいだろう。

    もともと英米では検察は官僚の仕事ではない。イギリスでは私人つまり各個人が弁護士を雇って犯罪者を裁
   判所に起訴するのが原則である。ドイツもほぼ同様である。また周知のようにアメリカでは地方検事の大半を
   選挙で選ぶことになっている。
    もっぱら官僚である検察官だけが人を起訴する権限を独占しているのは日本だけだ。(佐々木知子『日本の
   司法文化』文春新書)

 また中西氏は捜査に向かう東京地検特捜部の「『巨悪を衝くのだ』という使命感に溢れたまなざし」に危機感を感じています。中西氏が書かれているように、日本の検察制度は先進諸国の中でも本当にまれなのでしょうか。


 最後の「劇場政治」については以下のように述べられています。

    近年の日本の政治状況を振り返ると、「子供が動かす幼稚な国家」という言葉がどうしても浮かんでくる。成
   熟した民主主義体制とは、さまざまな矛盾や混乱などを抱えつつも、その矛盾や腐敗がまだ大きくならないう
   ちに発見し、着実に対処を行うべきものだろう。
    ところが日本では、いきなり事件が発覚し、マスコミのカメラの方列の前ですべてが進行する。そしてメディア
   に煽られた感情的な世論の後押しに応じたかたちでないと、事態は進まなくなってしまっている。これこそまさ
   に「究極の劇場化」である。

    小泉政治の功罪として、郵政民営化などの構造改革の是非がしばしば議論の対象となるが、私は小泉純一
   郎によって切り拓かれた究極の劇場政治が国民の精神構造に及ぼした破壊的影響、そしてその結果として
   のマスコミと国民の幼児化を促進したことの方が、はるかに罪が重いのではないかと考えている。そのあとに
   残されたものが、政党政治に対する国民の根本的な幻滅だったからだ。



 私は中西教授については、例えば田母神問題を擁護するような発言をされていたので、中西氏の論は私には受け入れがたいものばかりだろうと思っていたのですが、この論文、同じ号に掲載されている立花隆氏と朝日新聞編集委員の「小沢一郎の罪と罰」のいかにもジャーナリストらしい表層的な事件の解説よりも、はるかに鋭く本質を衝いている、警告の論稿だと感嘆しました。ぜひ多くの方に読んでほしいと、この紹介記事を書くことにしました。


 さて、この論文の最後の段落は以下のとおりです。

   いま日本にとっての急務は、「大人の民主主義」として備えているべき精神的な「安全装置」をいかに回復させ
  るか、という点に尽きる。制度の整備だけではなく、政治指導者、マスコミ、ひいては国民一人一人の精神、価
  値観の面で深く成熟することなしには、昭和の初期の悲劇が形を変えて、わが国を襲うことになるのは必定に思
  えるのである。


     (「衆人皆酔ひ、我獨り醒めたり」と悲憤慷慨して投身した屈原も偉いが、「滄浪の水 濁れば、もって吾が足を
     あらうべし
」といった名もなき漁夫に今は倣いたい 凡俗ネズミ)

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小沢氏秘書逮捕、その後の推移7
1 東京地検は、6月1日に、西松自民党ルートの二階大臣について、起訴猶予の判断を示した。 ...続きを見る
群青色日記
2009/06/02 11:16
志位和夫君、日本の大掃除、お願いできますか
 13日のテレビのトップ・ニュースの東京地検特捜部の小沢事務所などへの強制捜査の映像で、日本共産党の志位和夫委員長が、自民党の大森理森幹事長が泣いて喜ぶようなことを言っていました。この”政治とカネ”の問題については“確かな野党時代”のときの西松建設問題への対応とまったく変わってはいないのですね。 ...続きを見る
日日是生日
2010/01/14 14:43

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
 その論文は未読ですが、中西輝政は信用に足る論者ですし、佐々木知子の新書は読んでいます。この他に何かしらの米国のインテリジェンスが絡んでいるのではないかと、状況証拠ですが、判断していますので、中西の指摘は鋭いというべきでしょうね。これが敗戦後、いまなお日本の政財界、学者、ジャーナリストなどに組み込まれていると、ぼくの常識はそう思考をうながしますね。
つき指の読書日記
2009/05/01 10:48
こんにちは。まだ、電車で携帯からです(笑)。
中西論文を読みました。どっちもどっち論、検察ファッショ論など、おこがましいですが、私のブログと似たようなことが書いてあり、まあそれは私が誰かの書物から学んだことだろうから、ハシャグほどではないのですが、嬉しかったですね。
この記事に関連するのですが、日頃「歴史に学べ」と自虐史観を展開してきた左翼が、今日の政治不信や検察ファッショについて歴史を活かす局面になると、とたんに無口になるのはどういうことでしょうか。「歴史を学べ、戦争をするな」と喚いていればそれだけで戦争が防げると考えているとすれば、まさに「平和ボケ」としか言えません。歴史を学ぶ意味はがどこにあるのかといいたいです。
tesa
2009/05/01 19:49
中西論文、歴史的事実を踏まえた含蓄ある文章でしょうね。
私はこれまでのいきがかりもあって、どちらかというと左側に生息していた人間ですが、ブログでは左の人のはわかりきっていておもしろくなく、あんまり右だとついていけませんが、少々右の人のが示唆に富むと感じています。何を基準に右とか、左とかいうのか、よくわかりませんが。
damao
2009/05/02 10:47

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