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zoom RSS 船橋洋一の「権力監視」というジャーナリズム精神

<<   作成日時 : 2009/09/08 10:29   >>

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 船橋洋一氏は2007年6月26日、30年間空席になっていた朝日新聞の主筆に就任しました。主筆とは一般記事と社説など論説の双方を統括する職なのだそうで、論説主幹よりも上なのでしょう。その船橋主筆は同年7月25日の紙面に「ジャーナリズム再興」と題した就任の弁を書いています。以下はその全文です。

     新聞を含む世界のメディアは、印刷機をを発明した15世紀ドイツのグーテンベルク以来の巨大な技術
    革新の波に洗われているかもしれない。                      
     情報をタダのモノにしてすべてをのみ込んでいくインターネットの津波が押し寄せているようにも見える。
    日本の新聞を取り巻く環境も厳しい。ネット媒体に押されているし、若者の活字離れ、新聞離れが進んで
    いる。
     そうした状況の中、私はこのたび朝日新聞主筆の任につくことになった。
     新たに定められた本社の主筆規定によれば、主筆は「本社ジャーナリズム精神を体現し、紙面と報道
    の声価を高めることを責務とする」。
     朝日新聞のジャーナリズム精神とは何か
     私はそれを「権力監視」にあくまでも食らいつく記者根性であると思っている。
     権力を握るのが誰であろうが、どの政党だろうが、暴力装置を持つ権力が、国民の権利を守るのか、
    侵すのか。国家が人々の心の奥や財布の中にまで手を突っ込んでくることはないか。
     政府の外交、防衛政策が、日本と世界の平和と安全を高めているか、しっかりと見張り、正確に報道
    していく。戦前、アジア太平洋戦争に対しては誤った報道をし、読者を裏切った。朝日新聞は、戦後、そ
    の反省から出直した。「権力監視」と正確な報道というジャーナリズムの原点にいま一度、立ち返る。そ
    して、それを踏まえて、時代の要請により鋭敏に応えるべく、紙面と報道の質を不断に向上させる。それ
    によって「紙面と報道の声価を高める」責任をはたしたい。
     そのために次の四つの新聞像を目指したいと考えている。
     ▲国民の切実な要求に応える新聞。
     環境・安全、雇用・労働、財政・年金、介護・医療、人権、教育、文化、そして、外交と安全保障・・・そ
    れらのテーマを精力的に報道していく。人間の「いのち」と「生き死に」にかかわる事柄とその意味合い
    を真摯に、丁寧に書いていきたい。
    ▲質の高い新聞。
     ありがたいことに朝日新聞はこれまでおおむね「質の高い新聞」との評価をいただいてきた。それは
    「読者の質の高さ」に負うところも多かったと思う。近年、国民も読者も関心はより専門化し、批評眼もよ
    り研ぎ澄まされていると私は感じている。「物足りない」と思われないように朝日新聞は紙面、報道の質
    をもっと高めなければならない。
    ▲世界と日本を同時代的に共感をもって関連づけることのできる新聞。
     今後、アジアは興隆し、世界は多極化していくだろう。紙面にそうした視角をもっと織り込んでいくこと
    が大切だ。日本が世界の中でよりよく生きていくためには、他者の多様な視点に敏感でありたいし、日
    本の多様な視点を世界に確かに伝えていきたい。
    ▲国民とともに歩む新聞。
     朝日新聞は、130年近い長い歴史と800万部以上の厚みのある読者層に支えられている。一部の
    層やどこかの利害の代表者ではない。それだけに、国民の共通項を分断しかねない格差拡大、弱者
    切捨て、少数派無視には赤信号を点す必要を感じている。それとともに、国民の文化と伝統の新たな息
    吹を掘り起こし、日本を再発見し、人々の哀歓を紙面に刻んでいきたい。
     ネットの挑戦にどう応えるか。ネットも思い切って活用する。
     ただ、決め手は新聞ジャーナリズムの再興に尽きる。読者の「知りたいこと」を伝えるのはまさに新聞
    の仕事だが、読者のそれほど「知りたくないこと」も時には書かなければならない。それがジャーナリズ
    ムであると私は思っている。新聞は検索ではない。しばし隣の頁にも道草していただきたい。
     ネットの場合、企業が顧客とパートナーになれるかどうかで、事業の成否も決まるという。それは私たち
    にとっても変わらない。
     読者と真のパートナーとなり、読者との共同作業をもっと試みたい。それによって、新しい声と深い思い
    と鮮やかなニュースを取り出し、より広範な人々に伝えたい。


 ところで朝日新聞は2006年1月25日の127周年創刊記念日から「ジャーナリスト宣言。」キャンペーンを展開していました。しかし、同社カメラマン(記者)の他紙記事盗用事件が発覚し、2007年2月1日から、このキャンペーンを順次自粛しています。この「ジャーナリスト宣言。」とは以下の文言です。
                 言葉は感情的で、残酷で、ときに無力だ。
               それでも私たちは信じている、言葉のチカラを。
               ジャーナリスト宣言。
朝日新聞

画像


 このキャンペーンに船橋氏の影響があったかどうかは知りませんが、それから5か月後の紙面に「ジャーナリズム再興」という論説を書いているのですから、案外関係が深いのではと私には思われます。

 それはともかく、「朝日新聞のジャーナリズム精神とは何か。私はそれを「権力監視」にあくまでも食らいつく記者根性であると思っている」という文、その言や誠によしです。

 しかし、小泉内閣、それにつづく安倍、福田、麻生内閣の「権力監視」に朝日はあくまでも食らいついて記事を書いていたのでしょうか。そのような社説を掲げていたのでしょうか。
 
 私はもともと朝日新聞の愛読者です。今も全国紙の中でまず手に取って読みたいのは朝日なのです。でもこの一年、何回か朝日を批判する文をこのブログに書いてきました。私にはとても「権力監視」なんて思えなかったからです。

 
 9月3日、船橋主筆はメイン・タイトル「報道側も機会と試練」、サブタイトル「「内からの批判」の報道目指す」「「熟議」の空間つくる」という文を書き、以下のようにその決意を表明されています。
     
     私たちジャーナリズムにとっても歴史的な機会と試練が訪れた。政権交代のマグマとなった日本の
    経済社会の巨大な変容と新政権の挑戦を的確かつ躍動的に報道し、そこでの争点を鋭角的に議論
    する言論機能を強化していきたい。

 朝日にはすばらしい大記者がおり、誇れる歴史があるので、「「内からの批判」の報道目指す」新しい朝日新聞の挑戦に期待をする気持ちはまだもっています。でも、民主党を支持したとはいえ、健全な保守政党の再建を願ってもいる私、惨敗後の自民党を見ていると、組織もまた賞味期限が切れたら廃棄処分するしかないのではと思えているのです。ですから、既成マスコミに期待するのも同んなじことか、そんなふうにも感じているのです。

 ところで、鳩山民主党政権になったら、記者クラブは開放されるのでしょうか。記者クラブ開放を求める上杉隆氏の記事、ご覧ください。http://diamond.jp/series/uesugi/


             (私は100まで生きると宣言はしていても、だんだん目はかすみ、歯は欠け、耳は遠くなる 
              年にはかてない 老いぼれネズミ) 

≪追記≫
前回の私の文「朝日主筆・船橋洋一は何がいいたいのか」を書いた後で、以下の文に気づきました。私にとっても参考になるので、URL貼付しておきます。
http://oshimas.iza.ne.jp/blog/entry/1205951/(遅すぎた朝日・船橋洋一主筆の”変身宣言”)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「…内閣の『権力監視』に朝日はあくまでも食らいついて記事を書いていたのでしょうか。そのような社説を掲げていたのでしょうか。」
これはごもっともです。権力監視に食らいついて行った結果、
「何も問題ない」というのもひとつの立場だと言っているのかなと思いましたね。
tesa
2009/09/08 23:07
船橋氏は大言壮語癖がおありなのでしょうか。今度は「的確かつ躍動的に・・・、鋭角角的に・・・」とおっしゃっています。
「朝日は他紙に比べてまだまし」、今でもすこしは期待している私です。
damao
2009/09/09 21:58

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