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zoom RSS 「清明上河図」扇の画讃解説

<<   作成日時 : 2009/10/17 17:53   >>

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 この夏、知人が中国からの高校生をホームステイに受け入れました。
 お礼に中国工芸品の「清明上河圖」の扇子をもらいました。なかなかの土産物とは思うものの、どんな絵なのか、裏の文章はなにが書いてあるのか、見当つかないから、解読してくれとたのまれました。

 この扇子は表面は幅約10メートルの運河にかかる橋げたのない虹のような大きな橋がかかり、人がいっぱい通り、運河には何人も船頭が乗っている運搬船が浮かぶ、12世紀ころの北宋の都の都市風景のにぎわいぶりが描かれています。
 裏面には以下に紹介する文と七言絶句です。

 中国旅行でこのような扇子を手に入れる人もいるかと思い、意味がわからないよりわかった方がいいと思いましたので、間違いもあるかと思いますが、参考までに、知人に渡した原稿を紹介します。


画像



  清明上河圖解説

(作品解説)
 「清明上河図」は北宋(960〜1127)末期の翰林待詔であり、画家としても著名であった張擇端の描いた、縦二五センチ、長さ五・二八メートルの絵巻です。現在北京故宮博物館が所蔵しています。
 清明の時節(陰暦春分の日から十五日目の節句、新暦では四月五日)の、北宋の都、東京開封府(現河南省開封市)に内外の人士が行楽して繁栄する様子を描いています。季節は、春たけなわであり、その絵画的な精細描写の価値とともに、当時の市街や風俗を描いた図として、極めて資料価値の高いものと評価されています。
 この文章は大定丙午(ひのえうま)の年の清明節後のある日に燕山に住む張著という人がこの図の奥書として書いた文(跋)です。この図の作者張擇端を知る唯一の資料とのことです。
 なお、後につづく文字は「博平に住む 張世積」(この字は疑問)と「鷺津に住む 如壽」という人の七言絶句です。



翰林張擇端字正道東武人也幼讀書遊學於京師後習繪事本工其界畫尤嗜於舟車市橋郭徑引成家教也按向氏評論圖畫記云西湖爭標圖清明上河圖選入神品識者宜寶之
                                  大定丙午清明后一日 燕山 張著 跋

(訓読)
 翰林の張擇端、字は正道、東武の人なり。幼くして書を読み、京師に遊学す。後に絵事を習ふ。
 もともと其の界に工(たくみ)にして、尤も嗜みて舟・車・市・橋・郭・徑を画く。引かれて家教と成るなり。
 向氏の評論を按ずるに、『図画記』に云ふ、「西湖争標図と清明上河図は選ばれて神品に入る。識者宜しく之を宝とすべし。」と。                                       大定丙午 清明后の一日 燕山 張著 跋。

(訳)
 翰林の張擇端は、字を正道といい、東武の人です。幼いころから書物を読み、都に出て学問をつみました。後に絵画の技法も学びました。
 もともとその方面に優れた才能があり、特に好んで描いたのは舟とか車、市場とか橋梁、お城とか人通りとかでした。推薦されて名家の家庭教師にもなりました。
 向氏の評論を調べてみると、『図画記』に以下のように書かれています。「『西湖争標図』と『清明上河図』は選ばれて神の手になるような優れた作品だといわれている。見識ある人はこの作品を宝だと思って接してほしい。」と。                                         大定丙午 清明節後の一日 燕山 張著 跋。


(張世積の七絶二首)
畫橋虹臥浚儀渠  画は橋の虹臥と浚儀せし渠、
兩岸風煙天下無  兩岸の風煙 天下に無からん。
滿眼而今皆瓦礫  滿眼の而今は皆瓦礫して
人猶時復得璣珠  人猶ほ時に復すれば璣珠を得ん

(解釈)
 この図巻きには虹が大空に横たわっているような橋と底を深くしてきちんと測量して作られた運河が描かれている。
 この汴河両岸の賑わいの風景はこの地以外で目にすることはできないだろう。
 ところで、いまわたしの目に現実に飛び込んでいる風景はどこもかしこも瓦礫の山だ。
 人間というものはいつかまたもとに戻ってこういう珠玉のような風景を手に入れることができるだろうか。


繁華夢斷兩橋空  繁華の夢断たれて兩橋は空しく、
唯有悠悠汴水東  ただ悠悠たる汴水の東する有り。
誰識當年圖畫日  誰か当年の図画の日を識るや
萬家簾幕翠煙中  万家の簾幕翠煙の中

(解釈)
 繁華の夢は王朝の衰退で断たれてしまい、ふたつの橋は空しく消えてしまった。
 今はただ汴河の水が人の営みとは無縁に東の方角へ悠悠と流れているのを目にするだけだ。
 一体だれがあの当時の人々のにぎやかな生活風景を知っているだろうか。もうだれも知らないだろう。
 この図巻きをみると万を数えるくらいの多くの家が軒にはすだれや垂れ幕を下げて、緑の樹木に囲まれた中で豊かに暮らしているよ。



(如壽の七絶二首)
汴梁自古帝王都  汴(べん)梁(りょう)は古より帝王の都
興廢相尋何代無  興廃相ひ尋ぬるも何代も無し
獨惜徽欽從北去  独り惜しむらくは徽欽北より去りて
至今荒草徧長衢  今に至るや荒草徧へに長衢なることを

(解釈)
 ここ汴梁の地は昔から帝王の都であった。
 いま興廃の歴史を尋ねてみても、もう何代も王朝の姿はここにはみえない。
 ただただ残念なことは美しい御旗を翻す王朝の姿はこの北の地から去り、
 四方に通じるかつての大通りは今やぺんぺん草が生えてしまっていることだ。


妙華圖成意自深  妙華の図成りて意自ら深く
當年景物對沉吟  当年の景物沉吟に対す
珎藏易主知多少  珍蔵主を易(か)ふるも知るは多少ぞ
聚散春風何處尋  聚散する春風何れの処をか尋ねん

(解釈)
 この上なく華やかな賑わいを描いたこの絵が描かれて、この絵を見るものの当時への思いはつのる。
 当時の人々の生活の一こま一こまを思うにつれて、思いはいやましに深まるばかりだ。
 この貴重な宝物の所蔵した人は幾人も入れ替わっているが、それぞれなにをこの絵から受け取ったのだろうか。
 吹いては過ぎ去るこの春風よ、これから一体どこを訪ねつもりだろうか。





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