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zoom RSS 阿川弘之翁の鈴木貫太郎評――『大人の見識』から

<<   作成日時 : 2010/01/13 13:04   >>

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 国の運命を左右する要職に在りながら、「つゆ和魂なかりけるもの」の代表は東条英機陸軍大将だと大正9年(1920年)生まれの阿川弘之翁は『大人の見識』(新潮新書・2007年)の中で、開戦から3年間首相を務めた東条英機の悪口を書いています。

 「大人の見識」とは悪口をいうことかと思われる方もおられるでしょうが、ご自分でも「いっそ題名を『老人の不見識』にしたら」とおっしゃっていますけれども、だれかの悪口ばかりを書いているわけではありません。

 阿川翁は学徒動員で予備学生として海軍に入り、少尉に任官しています。イギリス海軍の精神に学んだ日本の海軍では「ユーモアを解せざるものは海軍士官の資格なし」、「海軍に入った以上、体のこなしもものの考え方もワイヤのように柔軟であれ」という基礎教育を受け、そのような“ネイビズム”(海軍精神)への思い入れは強くあります。きっとそのせいでしょう、帝国陸軍はユーモアを解さず硬直した集団だと、お嫌いのようです。

 その阿川翁が東条英機陸軍大将とは正反対に賞賛している人物がいます。それは終戦の年の4月77歳と言う史上最高年齢で首相就任という記録を持つ鈴木貫太郎海軍大将です。


 それでは鈴木貫太郎提督の語録を列挙しておきます。

    「深い哀悼の意をアメリカ国民に送る」 (ルーズベルト米国大統領急逝へのステートメント
       これに対して世界各国で大きな反響があり、亡命中のドイツ作家トーマス・マンは以下のようにドイツ国
      民に語りかけたとのことです。
         これは呆れるばかりのことではありませんか。日本はアメリカと生死をかけた戦争をしているのです。
        あの東方の国には、騎士道精神と人間の品位に対する感覚が、死と偉大性に対する畏敬が、まだ存
        在するのです。これが(ドイツと)違う点です。ドイツでは……。
(P39)

    「いやしくも名将は特攻隊の力は借りないであろう。特攻隊はまったく生還を期さない一種の自殺戦術であ
    る。こうした戦術でなければ、戦勢が挽回できなくなったということは明らかに敗けである。だが敗けるというこ
    とは滅亡するということとは違うのであって、その民族が活動力さえあれば、立派な独立国として世界に貢献
    することもできるのであるが、玉砕してはもう国家そのものがなくなり、再分割されてしまうのだから、実も蓋も
    ない」
(P44)

    「戦争は勝ちっぷりが良くなくてはいけないが、負けっぷりも良くないといけません。鯉は俎板の上に載せら
    れたら、包丁をあてたってびくともしない。あの調子でどうか吉田さん、負けっぷり良くやってください」
(P47)
     (鈴木内閣の次の内閣の外務大臣になった吉田茂へのメッセージ
  
 
 鈴木首相は東条英機がいる重臣会議では卓を叩いて「理外の理」を主張し、「本土決戦をしてでも最後まで戦い抜く。利あらざる時は死あるのみ」と、東条と同じ意見を大声で述べたりします。しかしこれは一生一代の演技だったと阿川翁は推測します。総理大臣の顔つき、人間としての風格が海外では「国家の品格」として受け取られる、その優れた例として鈴木提督を賞賛し、終戦処理の功績を以下のように述べています。

     何しろ軍の強硬派は、広島長崎への原爆投下、ソ連の参戦という非常事態に直面して尚、本土決戦一億
    玉砕の主張を翻さなかったのです。鈴木さんは逆に、この悲惨事を好機として一挙終戦に持ち込むんです
    が、もしそれも失敗に終わっていたら、日本はどうなっていたと思いますか?団塊の世代なんてものはこんに
    ち存在しないんですよ。全国各地で沖縄戦と同じ状況が繰り拡げられて、陸海軍の将兵はもとより、女子挺
    身隊の若い娘たちも次から次へ斃れて行く。天皇御一家は松代大本営の地下壕の中へ無理矢理移されて、
    最後は両陛下も皇子皇女も、刺しちがえたり毒を仰いだりしてお亡くなりになる。二千年の歴史を持つ東洋の
    君主国は、文字通り亡び去ったでしょね。 (P45)


     (「首相の品位が国家の品格として受け取られる」という。麻生さんと鳩山さん、どちらが品格があるのか、
      目下検討中の 面食いネズミ)  

≪追記≫
Wikipediaの「鈴木貫太郎」と「坂の上の雲 鈴木貫太郎」を読んだら、阿川翁の言っていることはでたらめではないと思いました。おヒマでしたらご覧ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E8%B2%AB%E5%A4%AA%E9%83%8E
(Wikipedia 鈴木貫太郎)
http://sakanouenokumo.hp.infoseek.co.jp/onikan.htm(坂の上の雲 鈴木貫太郎)

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