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zoom RSS 小沢一郎が手本とする政治家――小沢語録A

<<   作成日時 : 2010/02/10 12:54   >>

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 小沢一郎が挙げるわが国近代史の中で注目するリーダーはというと、大久保利通伊藤博文原敬吉田茂の4人だそうです。

      この四人は、政治制度や権力基盤というものを十分に理解し、把握したうえで卓越なリーダーシップを発
     揮した。彼らは、きわめて個性的な存在だ。それだけに、周囲の意見に耳を傾ける物分りのよいリーダーを
     理想視がちな日本風デモクラシーの観念からすれば、同時代の人たちからは決して高い点数は得られな
     かった。(『日本改造計画』 P26)

 上記のように述べた上で、4人のリーダーに共通する点は「何よりも時代の大きな変化に直面して、果敢に国づくりを推進したことだ」(P27)と書き、さらに彼らがリーダーシップを発揮できた理由として、「彼らが強烈な国家意識、つまり使命感と、それを実現するための権力意思を持っていたことだ」(P28)と言っています。

 ならば、小沢はどのような「権力意思」を持ったリーダーを理想としているのでしょうか。

      先の四人の政治家が手本を示している。世界の中における日本の位置について明確なビジョンを持ちつ
     つ、自らのよって立つ基盤である政治集団を強化、拡大することだ。薩長派閥の結合を強化した大久保、藩
     閥の限界を知って政党結成に踏み切った伊藤、政友会を拡大した原、首相としての権限を駆使して自由党
     に君臨した吉田など、いずれも、自らの政治集団を強化した。
      そのうえで、現在の憲法が保障している首相の権限をあらためて確認し「自覚化」するのである。この場
     合の「自覚」とは、権力が制度上さまざまな制約を受けているという消極的な側面の自覚ではない。私が強
     調したいのはむしろ、五五年体制の下での因習や悪習によって事実上封じ込められてきた首相の権力をい
     かに解き放つか、という積極的な発想に切り替えることである。(P30)

 国の最高権力者となる首相の権力行使には、「それを行使する危険性と行使しない危険性という二つの側面がある」(P31)、これまでは行使する危険性ばかりが喧伝され、その結果としての現在政治の閉塞状況がもたらされたのだと指摘します。

      現在、社会のあらゆる領域に浸透している政治的行政的機構は著しく専門化、細分化している。このよう
     な事態は、放置しておけばそれぞれの機構が分立の度を強めてばらばらになり、その結果、政治・行政全
     体が身動きのとれない状況を呈するようになる。政治の閉塞状況の原因は、首相が権力を行使せず、混迷
     の事態を放置していたことである。(P31)

 小沢は首相が権力を行使せず、混迷の事態を放置した具体例として、「湾岸戦争のとき、政府を支えるべき内閣法制局が従来の見解に固執して政府答弁が食い違ったこと」(P32)を挙げています。そして「大久保、伊藤、原、吉田に学ぶ」という項を以下のように締めくくっています。

      変化の時代に直面しているいま、明確な使命感と権力意思を持ち、かつ勇気を持って実行してゆく政治
     家が首相の座にすわるべきだ。そのリーダーシップを支えるために制度の改革が必要なのである。四人の
     偉大な政治家の足跡は、そのことを教えている。(P32)


 私はこの『日本改造計画』という書をここまで読んでみて、小沢一郎という政治家は森田実氏のいうような「政治を通じて巨額のカネを手に入れることが最終的な目的」という単純な金権政治家ではないと思いました。むしろ、政治改革が”趣味ともいえる、そういう政治家なのではないでしょうか。単なる金権政治家なら、うまみのある政権与党を、しかもかなりの実権を握る地位にありながら、そこを飛ぶ出すはずがないではありませんか。http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/

 ただ、この書を読みながら私の頭によぎった疑問は、1993年に出版されたこの書の後に出現したあの小泉純一郎という首相のことです。あの小泉首相こそ、まさにこの書で述べられている「明確な使命感と権力意思を持ち、かつ勇気を持って実行してゆく」首相だったのではないでしょうか。その小泉を小沢はどう評価しているのかということです。

 
 そういう疑問を抱いてネットをあさっていたら、魚住昭氏の「思考解剖・小沢一郎」という論文にぶつかりました。まだ全シリーズを読んではいないのですが、どうも小沢一郎という政治家は2005年の郵政選挙のころから、その考えがもう一つ大きく変化をしているようです。

 魚住氏の論文の一部を引用しておきますが、詳しくはそのシリーズをお読みください。
 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100128-00000301-gtwo-pol

      山口へのインタビューで浮かび上がったのは小沢の新自由主義から社民主義への百八十度の転換と、
     安全保障面でのタカ派からハト派もどきへの変貌だ。それが新自由主義・対米追随の小泉路線との対立軸
     をつくりだし、政権交代につなげるための戦略的な政策転換であることは容易に察しがつく。
      言い換えれば、小沢にとっては新自由主義から社民主義への、「小さな政府」から「大きな政府」への転
     換は政権交代の手段にすぎない。安全保障政策で民主党左派などの合意を取りつけたのも同じ目的のた
     めだろう。

      では、小沢は政権交代で何を実現しようというのか。彼の思想を知る最良のテキストはやはり一六年前の
     『日本改造計画』である。
         (1段省略)
      日本の国家機能を回復し「普通の国」になるため規制緩和や市場開放などさまざまな方策を彼は提案し
     ているのだが、そのなかで現在まで変わらぬものは二つしかない。
      一つは国際的な武力紛争に対する指針としての国連中心主義だ。『改造計画』で小沢は国連を「国際政
     治における安全保障の砦」と位置づけ、国連決議に基づく「人的な面」での「国際貢献」、つまり海外派兵の
     必要性を強調した。それから一四年後の月刊誌『世界』の〇七年一一月号でも、小沢は国連決議に基づか
     ない多国籍軍への海上給油を批判する一方で、国連決議によるアフガンへの自衛隊派遣を推進する考え
     を示している。
      ただし『改造計画』時の小沢の国連中心主義は「アメリカとの共同歩調こそ、日本が世界平和に貢献する
     ための最も合理的かつ効率的な方策」という対米協調路線と表裏一体だが、最近の小沢には米国と一定
     の距離を置く言動が目立っている。小沢側近の平野によれば、それは国際情勢の主軸が日米関係から米
     中関係優位に変わったことや、イラク戦争での米国の単独行動主義を目の当たりにした衝撃が大きかった
     という。

      もう一つ、小沢の主張で一貫しているのは中央官僚機構に対する姿勢である。彼は『改造計画』でも官僚
     政治の変革を唱え、与党と内閣を一体化し、迅速で強力な政治のリーダーシップをうち立てることを目指し
     てきた。
      そのために小沢は九三年、自民党を割って出て非自民・細川連立政権を樹立し、中選挙区制から小選挙
     区比例代表並立制度への転換を軸とする政治改革を行った。現在、民主党が唱える「脱官僚依存」のスロ
     ーガンも『改造計画』の延長線上にある。



       (「大久保、伊藤、原、吉田、小泉に学ぶ」で行くか、(「大久保、伊藤、原、吉田、小沢に学ぶ」で行くか
        末期高齢者代表で参院全国区出馬をもくろむ 政治マニア・ネズミ)

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小沢一郎をどう評価するのか
 2007年11月の小沢一郎大連立騒ぎのときに、代表辞任を申し出た小沢氏を民主党はどうしてよってたかって引き止めるのか、当時の私は疑問に思っていました。 ...続きを見る
日日是生日
2010/08/25 15:12

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ぼくも当時、日本改造計画を読んで、新自由主義にかぶれたこともありました。
しかしそのころの小沢の思想とは、今日の小沢は明らかに転換しているように思います。93年当時に予定していたことが小泉にやられてしまったというのもあるし、ある意味、変節なのですが、それが逆に、安倍晋三のような、成果を何も残せないナイーブなお坊ちゃんとは明らかに違って、政治家の存在価値に対する使命感のようなものを感じたりもします。
tesa
2010/02/10 23:47
魚住氏第4回の文で、「(経世会思想の本質は)徹底したプラグマティズム(実用主義・道具主義)」と、佐藤優さんがでいっていました。漁父之辞の「聖人は物に凝滯せずして、能く世と推移す」と同じでしょうか。
ヒマになったら、『美しい国』や『とてつもなく』と読み比べてみましょか。そんなヒマ、ないとは思いますが。
damao
2010/02/11 20:40
なんどもすみません。
政治家の本で読むとしたら、与謝野馨の「堂々たる政治」が良さげでした。
彼にもう芽はないと思いますが、立ち読みでざっと読んでおもしろそうでした。
「美しい国」は、著者本人に、どんな本ですか?ときいてみたら、
「まだ読んでません」とか答えそうです(笑)。全くのネタですが。
tesa
2010/02/12 01:45

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