日日是生日

アクセスカウンタ

zoom RSS 小沢一郎の「普通の国」――小沢語録C

<<   作成日時 : 2010/02/19 15:46   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 21 / トラックバック 2 / コメント 0

 「普通の国」という言葉をだれが最初に言い出したのかは知りませんが、1993年に出版された小沢一郎の『日本改造計画』(講談社)の第二部は「普通の国になれ」となっていました。ついでに補足すると、第一部は「いま、政治の改革を」、第三部は「五つの自由を」です。

 それでは小沢一郎の考える「普通の国」とはどのような国なのでしょうか。

      国家とは本来、利己的な存在である。経済がどんなにボーダーレスになろうと、この本質は変わらない。
     どのようにして国際社会の中で生き抜き、どのようにして国民に豊かで安定した生活をもたらし、発展させ
     ていくか。二百近い世界の国々がその目的のために、日夜必死で努力している。それが国際社会の現実
     である。
      だだし、自国の生き残りと繁栄のための努力は、他国を顧みないむき出しの国益追求ではない。国民の
     豊かで安定した生活が前提となるのは、国家の安全である。国家の安全を確保するためには、国際環境
     の平和と安定がどうしても欠かせない。今日、経済的にも軍事的にも政治的にも、どの国も単独では自国
     の安全を保障し得ない以上、各国が協調してそれを実現するしかない。
      ……。いうまでもなく、資源小国の日本が経済大国になり得たのは、自由な貿易によって富を集積でき
     たからである。それができなくなれば、日本は経済的繁栄の基盤を失ってしまう。そして、これも当たり前の
     ことだが、自由な貿易は安全保障、政治、経済の各分野で国際秩序が保たれていなければ成り立たな
     い。
      したがって、日本はどんな努力をしてでも国際社会の平和と安定と自由を維持しなければならない立場
     にある。冷戦後の新しい世界秩序を一日も早く築き上げなければならない。そのための責任と役割を、どの
     国にも増して積極的に果たさなければならない。日本は、真の意味での「国際国家」となる以外に生きてい
     くすべがないのである。
        (3段落省略)
      では、真の国際国家になるためにはどうすればいいか。何も難しく考える必要はない。「普通の国」になる
     ことである。
      「普通の国」とは何か。二つの要件がある。一つは、国際社会において当然とされていることを、当然のこ
     ととして自らの責任で行うことである。当たり前のことを当たり前と考え、当たり前に行う。日本国内でしか
     通用しないことをいい立てたり、国際社会の圧力を理由にして仕方なくやるようなことはしない。
        (1段落省略)
      もう一つの要件は、豊かで安定した国民生活を築こうと努力している国々に対し、また、地球環境保護の
     ような人類共通の課題について、自ら最大限の協力をすることである。……。
      この二つを確実に、かつ継続して行うことによって、日本は、国内の経済的発展と財の配分しか考えてこ
     なかった「片肺国家」から、国際社会で通用する一人前の「普通の国」に脱皮することができる。
                                                     (P102〜105)



 さて、小沢は国家というものを「どのようにして国際社会の中で生き抜き、どのようにして国民に豊かで安定した生
活をもたらし、発展させていくか
」という本来利己的な存在であるといいます。

 冷戦後のわが国が国際社会の中で生き抜き、国民に豊かで安定した生活をもたらすためには、「普通の国」にならないといけないと考えます。

 小沢はわが国が「普通の国」に脱皮するためには二つの要件があると考えます。

 一つは「国際社会において当然とされていることを、当然のこととして自らの責任で行うこと」です。もう一つは「豊かで安定した国民生活を築こうと努力している国々に対し、また、……人類共通の課題について、自ら最大限の協力をすること」です。

 これまでの日本は後者の要件は「かなり行っている」(P105)と評価しますが、前者の要件が不十分だと考えます。この前者の要件というのは、言い換えると、「平和と自由のコスト」(P105)を応分に負担するということで、戦後のわが国は「ほとんどのコストを負担することなく、平和で自由な世界市場の果実を人一倍享受してきた」(P106)おかげで、経済発展を遂げてきたが、これからはそういうわけには行かず、日本も応分のコストを負担しなければいけない、つまり平和と自由のコストを負担する「普通の国」にならなければ、国際社会の中で生き抜いていくことは難しいというのです。

 小沢がこうした思いを強くしたのは、海部内閣の幹事長時代に体験したあの湾岸戦争でした。小沢は実効的な貢献を期待したアメリカの要求に応える努力をするのですが、野党とともに官僚である内閣法制局の、小沢から見たら硬直した憲法解釈に阻まれて、130億ドルもの資金的協力で済ませることになったことです。

 このあたりの事情を魚住論文中で、佐藤優は以下のように語っています。

     佐藤 だから彼の原点は、自民党幹事長時代に遭遇した湾岸戦争で自衛隊を海外派兵しようとした時に、
        内閣法制局長官の答弁で待ったをかけられたということですよ。
         戦前と同じように官僚たちがデケエ面をしている。検察もそうだ。検事長以上が親任官であることに、
        検察官達があれだけ重きを置くのは、最終的には天皇の官吏であるとの意識があるからです。小沢さ
        んの権力闘争はそれに対する戦いですよ。……。

        http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100208-00000301-gtwo-pol(小沢一郎・思考解剖D)

 それでは「片肺国家」であるわが国を小沢のいう「普通の国」に脱皮させるために、先に述べた「普通の国」の二つの要件を実施できるようにするために、小沢はどのような政策をし、どのような政治改革をする必要があると考えているのでしょうか。

 それは外交・安全面では「国連中心主義の実践」(P105)です。「専守防衛戦略」の自衛隊を「平和創出戦略」に転換することです。そのように転換することに日本国憲法を変える必要はない、解釈改憲で可能だと小沢は考えます。

 もう一つは内政面での政治改革です。『日本改造計画』の見出しを並べて説明すると、それは以下のようになります。

 なんといっても「首相官邸の機能を強化」(P45)し、「与党と内閣の一体化」(P55)を図り、「官僚が決定権者か」(P55)というこれまでの官僚主導政治を打破して、「官庁も政治家主導で」(P61)、そんな政治を行うことです。

 この書の中には「なぜ小選挙区がいいか」(P65)というタイトルもあります。その小選挙区への改革は小沢の手によってその後実現し、その制度によって念願の政権交代を実現させました。今の民主党政権は内閣法制局長官の国会答弁禁止をはじめ、首相官邸の機能が強化され、与党と内閣の一体化が叫ばれ、官庁も政治家主導でということで、多くの議員が政府に入る改革をしようとしています。

 マスコミ報道を見ていると、小沢一郎は政権交代で独裁政治を目指しているとか、森田実のように「小沢が実権を握って何をしたいのだろうか。「政治を通じて巨額のカネを手に入れることが最終的な目的なのではないかとさえ思えてくる」と、かつての側近は言っている」とか、独裁者、金権政治家というイメージで毎日攻撃しています。しかし、90年代以降のわが国の政治は17年前に書かれたこの書の方向へと確実に動いている、そういうしかない現実ではないでしょうか。

 今の民主党の政治改革の具体案の多くはすでに述べたようにこの書の中に盛られています。あの小泉内閣の規制緩和とか公務員改革とか、安倍内閣の補佐官制度とかも、ひょっとしてこの書からのつまみ食いだったのでは。今はじめてこの書を読んで、私はそんなふうにも思うのでした。


    (「小沢は死んだ、終わった」、「賞味期限が切れた」、「闇将軍になるしかない」、いろいろいわれているが、
     谷垣禎一もこの書を超える『新・日本改造計画』をぜひ発表してもらいたい、そう思っている読書家 ネズミ) 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 21
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス
面白い
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(2件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
小沢一郎をどう評価するのか
 2007年11月の小沢一郎大連立騒ぎのときに、代表辞任を申し出た小沢氏を民主党はどうしてよってたかって引き止めるのか、当時の私は疑問に思っていました。 ...続きを見る
日日是生日
2010/08/25 15:12
マスコミ 84
1992年ごろ 小沢一郎の「普通の国」――小沢語録C http://lailai-hanyu.at.webry.info/201002/article_16.html ...続きを見る
邪馬台国 下関
2016/11/25 03:45

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
小沢一郎の「普通の国」――小沢語録C 日日是生日/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる