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zoom RSS 『黄河の疾風』―どうして、日本人は中国人を一段下に見るのか

<<   作成日時 : 2012/07/16 14:46   >>

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 若いころは小説も読む方でしたが、しだいに読まなくなってきました。それでもせめて芥川賞くらいはと、つとめて『文芸春秋』を手にするようにはしています。しかし、ほとんどの場合が私にはつまらなく、時間のムダ、そんな感想ばかりでした。

 ところで、先日囲碁で立ち寄った公民館の図書室で、『黄土の疾風』(深川律夫著)というタイトルが偶然目に入りました。もう10年ほど前になりますが、植林ボランテイアで西安から飛行機で延安に向かい、そのとき上空から眺めた黄土高原の異様さを思い出し、どんなことが書かれているのか読んでみようという気になりました。

 その内容、「BOOK」データでは以下のように紹介されています。
      日中両国の農業の危機を克服するため、投資ファンドを設立し黄土高原で村興しを始めた大塚草児。
     一方、草児の後見人、宮崎善幸が社長を務める総合飲料メーカー・六甲酒造は、欧州穀物メジャー・オ
     レンジサントの乗っ取りの標的となっていた。村興しの成否は?乗っ取りは回避できるか?日中の架け橋と
     なる壮大な物語。第3回城山三郎経済小説大賞受賞作。

 作者は大阪外大で中国語を専攻し、上海復旦大学に留学。いまはみづほコーポレーションの銀行マンで、上海支店にも勤務された方だそうです。その前作は『連戦連敗』という作品で、第2回城山三郎経済小説大賞は逃したものの、評価は高く、中国ビジネスを描いた力作として角川文庫にも収録されているそうです。

 中国というと、今年は国交回復40周年にもかかわらず、尖閣諸島の問題などもあって、日本人の中国に対する印象は過去最悪なんだそうです。
画像

                   言論NPOが6月20日に発表した「第8回日中共同世論調査結果」。この結果84.39%
                        は過去最悪とのこと。中国側の64.5%という結果は過去最悪だった前回65点9%より
                        は若干改善しているとのこと。


 でも、この作品に登場する主人公大塚草児は「日中両国の農業の危機を克服するため、投資ファンドを設立し黄土高原で村興しを始めた」人物です。その大塚草児をバックアップしている六甲酒造の宮崎善幸社長やその兄で外務大臣まで務めた衆議院議員の志村泰蔵兄弟も、媚中派と言われながらもいち早く中国での企業を展開する親中派です。どうしてそのような親中国の生き方をするのか。それは草児の亡き母親ハルが15歳のときに幼い泰蔵・善幸二人の兄弟の世話をしながら引き揚げてきたことと無縁ではなかったのです。

 ちょうど真ん中の第6章は「母の手紙」というタイトルです。そこにはガンで亡くなる前に息子の草児に書き残した母の手紙がつづられていています。私はその手紙を読みながらつい年甲斐もなくこみあげてくるものを抑えることができませんでした。私もまた、8年ほど後の引揚ではありますが、16歳で日本に戻ってきた者だからかも知れません。

 作品の詳しい内容は読んでもらう事として、ここで私がなるほどと心打たれた箇所を一つだけ引用しておきます。それは母の手紙の中に書かれていた以下のくだりです。

     せっかく、中国と仲良くなったと思ったのに、日本人の心は戦前と変わらないよ……。母さん、おまえに
    何も教えてやれなかったけど、これだけは覚えておいておくれ。母さん、あまり本は読まなかったけど、岡
    部伊都子さんの随筆だけは好きでよく読んだのよ。岡部さんの言葉は、なぜか母さんの心にしみてくる感
    じがしたのです。その岡部伊都子さんの言葉に、こんなのがあるの。
    「私はどんなに立派な立場の人であっても、他を見下げる人を尊敬することができません。」
     母さん、その通りだと思う。そして、日本人を思う。どうして、日本人は中国人を一段下に見るのかねえ。
    それが、母さん悲しくてしょうがないよ。(本書237ページ)


 こんなふうに感じる日本人もいるのですね。私もまたそんなふうに思ってきた数少ない一人でした。


 北京オリンピックの始まる前、わが国ネットでは中国バッシングが花盛りでした。オリンピックが終わったら、上海万博が終わったら、中国は崩壊する、そんなことが言われていました。そうなるかもしれない、そうならないかもしれない。そんな迷いから私もこのブログでだんだん政治問題に深入りしてしまいました。

 この小説の主人公たちの心の中に流れている名曲があります。それはショパンのノクターン嬰ハ短調です。クラシックにもうといわたくし、ネットで初めて聞いてみました。心に響くいい音楽だと思いました。また、平原綾香のノクターンという曲もこの人たちの大好きな曲だというので聴いてみました。
  http://www.youtube.com/watch?v=eRqURo6FugAショパンのノクターン嬰ハ短調
  http://www.youtube.com/watch?v=EHx_bz-AKuw平原綾香のノクターン



 人間はどこに住んでいても同じなんです。なにがしかの悲しみを抱いて懸命に生きているのです。だれ一人だれかを見下げて平然とできる、そんな強い存在の人間はいない。このふたつの曲を聴きながらそう思ったのでした。

                   
                    (一等国民から小日本に転落した屈辱経験をもつ 屈折した“中国迷”のネズミ)


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