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zoom RSS なぜ今『蟹工船』なのか

<<   作成日時 : 2008/07/02 21:19   >>

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街の大きな本屋に行ったら、本当に小林多喜二の『蟹工船』が入り口に平積みされていました。帰ってきて私が持っている現代文学全集を調べてみたら、多喜二の『蟹工船』があったので、早速読んでみました。

カムチャッカの三角波の立つ荒海に揺られる大きな船の中で何百人もの雑夫たちが蟹の処理作業をしている、そんなドキュメンタリの映像をみている、そんな感じの小説でした。

ところで、雑誌『正論』7月号に産経新聞文化部編集委員の桑原聡記者のなぜ今『蟹工船』なのか 小林多喜二にすがる危うき現代社会という論文があり、問題点などよくまとめられていました。

この論文、以下の6つの小タイトルで構成されています。
地獄、糞壺、リンチ…
「本物の貧乏」リアル
日本共産党、白樺文学館、雨宮処凛
この行き場のない感覚
このままでは「殺される」?
われら保守だからこそ


この小説から連想されるものは、桑原記者のいうとおり「地獄、監獄、糞壺、虱、蚤、リンチ、少年との交接…、臭気」といったおぞましい現実で、どうしていまどきの若者が読みたくなるのか不思議です。船内の地獄絵がリアルに描かれているので、多喜二は実際にそんな仕事に従事したのかと思いましたが、1926年(大正12年)に「博愛丸事件」というのが実際にあり、銀行員だった多喜二はその事件に触発されて取材して書いたのだそうです。桑原記者も「近現代史の生きた史料としても、大きな位置を持っている作品」と評価しています。私もいまどきのわけのわからない芥川賞受賞作品よりも筆力もあり、真摯な作品だと感じました。

この仮眠状態にあった『蟹工船』の復活を企図したのは「日本共産党、白樺文学館、雨宮処凛」たちで、この作品を読んでの感想文としては25歳女性の「私たちは現状への虚無感を抱いて、彼らのように行き場のない感覚をどうしたらよいのか」というのと、34歳女性の「『蟹工船』を読むことは、氏が埋めたタイムカプセルを掘り起こし出して、中に入っている几帳面に折りたたまれた手紙を開いてみるようなもの」という文が紹介されていました。そこで読み取るのは、「イ 一人で戦っては駄目だ。 ロ 団結する仲間は多ければ多いほどよい! ハ 泣き寝入りしないで、最後まで諦めないで、勝つまで攻撃する―そうすれば、あなたは勝つ」ということだとか。


桑原記者の最後の文章は以下のようになっていました。

「……大人たちはこれまで、ワーキングプアが訴える窮状を『この日本でそんなことはありえない』と考え、『世間をなめているから』、『努力が足りないから』といった言葉で彼らを切り捨ててきた。われわれは、殊に保守を自負する陣営は、左派が完全に時流に乗るよりも前に、ワーキングプアの実態を正確に把握したうえで、彼らを救済する方策を考え実行する時期に来ている。多喜二没後75年の年に起こった『蟹工船』ブームを甘くみてはならない。政府与党と財界は本気で慌てるべきだ。」


『文藝春秋』6月号で、ジャーナリストの奥野修司さんがいっている以下の言葉のもつ意味、政府与党と財界は、いや、今度は支持しようかと思っている民主党こそ、本気で考えるべきではないのでしょうか。


「年収200万円を切って”貧困の連鎖”を繰り返しているうちに、やがて年齢とともに、バケツのそこが抜けたように奈落へ向かう日がやってくる」(「小泉改革の犠牲者たち 希望全く持てない新・貧困層の悲痛な叫び」)


また、4日の辺見庸さんのコラムに、教え子のフリーター青年の言葉として、上のものいいに似た表現がありました。

「ぼくら、いったんプレカリアートとしてアンダークラスにくみこまれたら、袋小路からぬけだすのは不可能にちかいいんですよ」


なお、道真さんのブログ「都市伝説的 雑学」に生活格差(ワーキングプア)を本気で考えるための動画として、昨年5月にNHKクローズアップ現代で放映された「ワーキングプア アメリカからの警告」が紹介されていました。ご覧ください。
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=569088


               (どういうわけか近ごろは朝日よりも産経記者の書くものに目がいく ヒダリ利きネズミ)




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