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zoom RSS 被災地の人は「神々しい」 これからは・・・

<<   作成日時 : 2011/04/18 19:54   >>

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 3.11大災害の地震と津波は天災ですが、福島原発事故は人災だと私も思うようになってきました。

 なぜなら、人間が創造した原発というものがなければ起こり得なかったから。想定外の津波が原因だという人もいるけど、明治以降の津波だけを想定して、江戸時代に起こった津波の記録は無視していたから。パフオーマンス好きの私たちの首相が事故発生初期の段階に空中遊覧視察をして、初動作業の時間が遅れたと伝えられたから。東電トップは事故機の廃炉に躊躇し、海水注入を遅らせ水素爆発を起こしてしまったから。

 さらに、今回の原発事故の根本原因は、これまでのわが国原子力行政・政策が、三権分立、マスコミを入れての四権分立ではなく、まさに三権談合、四権談合の“原子力ムラ”と呼ばれる人たちによって、強引に強権的に進められてきた、そこにあると私には思えるからです。


 すでに5週間が過ぎていますが、その間を振り返ってみると、今度の災害の絶対多数の被災者である地震や津波の被害者については私はまったく触れずに、ただただ福島原発事故ばかりを28本も書いて、“俄か”反原発・脱原発論者に“変身”してしまっていました。ここでその理由を弁解させてもらうと、きっと「地震と津波は天災だが、福島原発事故は人災だったから」ではなかったのか、今はそのようにも思っています。

 ところで、これまでテレビでおびただしい被災地の人々の映像を私も見てきました。その人たちの映像、特に表情を拝見したとき、私が感じたことを一言で言うと、老若男女を問わず、被災地の方々(被災者とその救援者)の表情は、言葉で言い表すなら、それは「神々しい」という言葉でした。いかなる美男美女(私はもともと世間で評価の高い「美男美女」はきれいだと思ったことはないのですが)も持たない私の心を動かす美しさだということです。


 なぜそのような言葉を思い出したのかというと、釜ケ崎のドヤ街の二畳一間で寝起きをしながら、20年間日雇い労働者と向き合ってきたカトリックの神父本田哲郎氏の『聖書を発見する』(岩波・2010年)につづいて、『釜ケ崎と福音』(岩波・2006年)を読んでいたからでもあります。

 そこにあるアメリカの心理学者グループが「あなたは神さまをどこにイメージしますか」というアンケートをしたということが紹介されていました。その結果は多くの人が神さまは前方の斜め上におられるということになったということです。しかし、本田神父は神さまは決してそんな前方の斜め上なんかにはいないと断言し、以下のように述べています。

     カトリックもプロテスタントも、「天におられるわたしたちの父よ」という表現から、天と言えば、タコタコ上が
    れ、天まで上がれの天と決めつけて、……神さまをどんどん遠くへ追いやってしまたのです。 

     詩篇の139篇5節では、神は「前から後ろからわたしを囲み、御手をわたしの上においてくださる」と、すご
    く身近な存在としてしっかり告げられている。
     しかも、113篇5-7節では、神は「御座を高く置く。しかし低みに立って天と地をご覧になる。弱った者を塵
    の中から起こし、乏しい者を芥の中から高く上げてくださる」と言う。わたしたちの神は高さで表現すれば最高
    の方ですが、仕事場は「低み」であり、「塵」と「芥」が吹き溜まるような「低み」です。人間社会の底辺であり、
    周縁です。きわめてわかりやすく説明されています。そこが天なのだ、と。(『聖書を発見する』55-56ページ) 


 「神は前から後ろから、低みにいる最も小さくされた者を囲んでくださるもの」――どうやらそれが本田神父のいう神さまのようです。また、私も「心の貧しい人々は幸いである」という言葉を聞いたことがあり、どうしてそう言えるのか不思議でしたが、聖書の原典から見直した本田神父は「心底貧しい人たちは、神からの力がある」と訳すべきだとされています。また、「天国」も「あの世」なんかではなく、「福音の行われている地上の世界」のことなのだそうです。

 
 私は震災前後に本田神父の2書を読んでいたので、老若男女の被災者たちの表情を見て、ああここに神さまがいるのだと、無神論の私ではありますが、そう感じたのでした。


 さて、17日、東電は原子炉を安定させるまでの工程表なるものを発表しました。6か月から9カ月という期間を聞かされた福島原発被災者のお一人が、「正月を避難所で迎えるのですか」と嘆いておられました。その悲痛な声に、改めて事故の深刻さを感じさせられました。


 ところで、今日の新聞記事に柳田邦夫氏の「納得できる説明急げ 原発情報無策を問う」という記事が出ていて、そこにはテレビで拝見する避難所の人たちとは違う状況が報告されていました。
     住民2千人以上が避難している郡山市の巨大なイベント施設「ビッグパレット施設」を訪ねて中に入った時、
    私は言葉を失った。
     広大なフロアに間仕切りもなく、薄い布団や毛布を敷いて、寝ている人、座っている人。ほとんどが中高年
    層で、その顔、顔、顔がまるで無気力症に陥ったかのように、暗くよどんでいる。心も体も疲労の限界に来て
    いるように見えた。人は居場所を失い、なすべき仕事もなく、明日への希望も見いだせない時、生きる力を失
    いがちだ。

 私がテレビで拝見する被災者の「神々しさ」と柳田氏が直に見た「その顔、顔、顔がまるで無気力症に陥ったかのように、暗くよどんでいる」という印象と、どちらが本当でしょうか。

 私はどちらも本当だと思っています。

 16日のNHK総合でマイケル・サンデル究極の選択「特別講義 大震災後の世界をどう生きるか」という番組で、最初に「日本人が世界に示した勇気と美徳」という項目で討議をしていましたが、日本の支配層は卑怯さと悪徳をばらまいたが、確かにあの被災者たちは称賛に値すると私も強く思いました。

 しかし、決して称賛だけで終わってはいけない、そうも感じたのです。

 神の子であるイエス・キリストはこの世で「人の痛み、苦しみ、さびしさ、悔しさ、怒り」を十二分に味わい、最後は十字架に貼り付けられる罪びととして終わたとのことです。その最後の言葉は「神よ、わたしを見捨てたのか!」という不安と絶望の叫びだったそうです。


 私思いますに、イエスさまは決してニヤケタ、上から目線の誰かさんのような社会活動家ではなかったと、今は思っています。「小さくされた者」への「痛みの共感」、それも「はらはたをつき動かされる」という、やむにやまれぬ感覚の持ち主だったと想像しています。だから底辺にいる人たちをさらに苦しめようとしている者たちからは嫌われ、恐れられ、殺されたのでした。そういう者たちから好かれ、親しまれ、持ち上げられる者では決してなかった、そのように今はイメージしています。


 これからの福島原発問題、おそらくは被災者たちの痛み、苦しみ、さびしさ、悔しさ、怒りが爆発してくるに違いありません。
 
 私たちもその被災者たちを「勇気と美徳を示した日本人」として称賛するだけではいけないはずです。被災者とともに怒り、叫び、「はらはたをつき動かされる」ような「痛みの共感」をもつべきでしょう。そして人災を引き起こした責任者のその傲慢さを厳しく追求しなくてはいけない、今はそう思っているのです。


                          (録画していた井上陽水の「長い坂の絵のフレーム」聴いていたら、
                          「満ち足りた人々の思い上がりを眺めている」とフレーズが耳に残った
                          俄か陽水フアンになった 音痴の ネズミ) 
 
   

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ある自治体職員で、宮城県庁に応援に行った人の話では、現地の避難所の住民は譲り合って混乱もなく行動していたのに、首都圏では買い溜めに走る人もいて、対照的だったとのことです。苦痛を具体的に突きつけられるよりも、抽象的な不安感をもつほうが不合理な行動に走らせるのでしょうか。
tesa
2011/04/20 16:25
私も日本人だから、こんな境遇に置かれたら「勇気と美徳」示せるか、自信ないですね。
そういえば60数年前、外地で終戦を迎え、短期間に立場が逆転し、あちこち移動しながら、最後はリック一つで引き揚げた体験が私にはあります。でも、不思議なもので、大変だったという思い出は残っていません。小さかったからでしょうか。みんな同じような境遇だったからでしょうか。
damao
2011/04/20 22:07

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